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仮想通貨という支払手段の売却は非課税売上となるが、課税売上割合の計算には含めない
ビットコインやイーサリアムに代表される仮想通貨(暗号通貨)の売却と消費税の確定申告に関して説明します。
仮想通貨の売却をすると個人であれば所得税・住民税がかかり、法人であれば法人税等が課税されます。では、消費税に関してはどうかというと、消費税については非課税売上とされるために課税がされないことになります。つまり、仮想通貨を売っても、その部分に関して消費税を受け取ることはないので納税義務が生じないということになります。そのため、仮想通貨の消費税の確定申告をしないと無申告状態となって後から加算税などの罰金を課税されるのではないかと不安になる必要はありません。
消費税法においては、支払手段及びこれに類するものの譲渡に関しては非課税とされているためです。この点に関しては国税庁の仮想通貨に関するFAQでも明確に取り扱いが示されているところです。元々は課税取引だったのですが、資金決済法の改正によって非課税取引に変更されたという流れがあります。
少し難しい話にはなりますが、非課税売上となるということは、課税売上割合の計算にも含まれるので、他に事業を行っていて消費税の課税事業者となっている納税者は仮想通貨取引を行っていると不利になるのではないかと思われるかもしれませんが、実はそうではないのです。この点は下記で説明いたします。
仮想通貨の売買をした場合には非課税売上が計上されますが、その非課税売上に関しては消費税法の課税売上割合の計算に含める必要はありません。
消費税法においては、原則として、課税売上として預かった消費税から、経費などの支払の際に支払った消費税を差し引いた差額を納税することとなっています(簡易課税の適用をしている場合は別の計算となります)。
ただし、非課税売上が5%超の場合(課税売上が95%未満の場合)には、支払った消費税の全額を控除できなくなります。この場合には、個別対応方式という計算方法又は一括比例配分方式という計算方法が適用されて、消費税額が増えてしまうのです。
課税売上割合の計算式としては以下のようになっています。
課税売上割合=その課税期間中の課税売上高(消費税抜き)÷その課税期間中の総売上高(消費税抜き)
※その課税期間中の総売上高=課税売上+非課税売上
課税売上割合が下がれば下がる程、消費税の計算上は不利になり、消費税額が増加すると言えます。したがって、仮想通貨売却によって非課税売上が増加すると、課税売上割合が下がるので不利になると思われがちなのですが、仮想通貨の売却収入は支払手段の譲渡に該当するために、上記の課税売上割合の計算の際の非課税売上からは除いて良いと言うことになるのです。
仮想通貨を売っても、消費税の計算で不利にはならないと言うことですね。ここで勘違いして課税売上割合を下げてしまうと過大な消費税を納付することになるので、課税事業者の方はご注意ください。
上記で仮想通貨の売却は非課税取引とされましたが、マイニングの場合はどうなるでしょうか。
この場合にも、消費税に関しては心配する必要はありません。マイニングについては不課税取引となり、消費税の納付の必要がないのです。売却した場合の非課税取引とマイニングの場合の不課税取引と呼び方は異なるのですが、どちらの場合でも、消費税を納める必要はないと考えられるので、不安になることなく仮想通貨売買や採掘を行うことができます。
商品やサービスの決済手段として仮想通貨が使われる機会は今後も増えていくかもしれません。
商品やサービスの売却の対価として仮想通貨を受け取った場合には、その取引は課税取引となり、消費税課税の対象となる点にはご注意ください。支払手段の譲渡には該当せずに、一般的な物やサービスの売買になるので、当然にして消費税がかかる取引となるのです。
仮想通貨で物を買ったら消費者は消費税を支払わなくても良いなんていうことにはさすがにならないわけですね。
仮想通貨と消費税の関係をまとめると次のようになります。
・仮想通貨の売買は支払手段の売買であるから非課税取引となる。
・仮想通貨売買には所得税や住民税、又、法人税等はかかる。
・仮想通貨の売却に関しては、課税売上割合の計算に含める必要はない。
・マイニングは不課税取引となり消費税の課税対象外となる。
・商品やサービスの売却の際に決済手段として仮想通貨を受け取った場合は、その取引は消費税の課税取引となる。
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